『パロディ、二重の声』展

 この展覧会は日本における“パロディ”の歴史を集約し、現在に至るまでどのように“パロディ”が扱われてきたかを見ていくものだ。日本のパロディを追うことで、日本におけるパロディの存在理由や立ち位置、意義を考える上で重要な展示である。2017年2月に、私はこの展覧会を見に東京駅まで足を伸ばした。

 最初のフロアには日本の芸術家が製作したパロディ作品が多数展示してある。エントランスにあるレオ・ヤマガタ作のモナ・リザシリーズは、我々をパロディの世界に招き入れるにはとてもわかりやすい例だ。私が気に入ったのは、横尾忠則の絵画だ。特にルソーをパロディにしてしまった『アンリ・ルソー《眠るジプシー》より』は、本来の意味での権力者や上位のものを批判するためのパロディという意味ではなく、ルソーが描く不思議な世界を面白おかしく、そしてブラックに変化させてしまう横尾の遊びが心地よかった。

 次のフロアでは大衆文化におけるパロディを中心にした展示になっている。雑誌『ビックリハウス』を中心に、雑誌、音楽、ポスター、本、写真など様々な形態でパロディは行われた。特に面白かったのは長谷邦夫や赤瀬川原平のパロディ漫画だ。長谷の作品はまさにコラージュのようにキャラクターを組み合わせ、独自のシニカルな世界観を作り出している。赤瀬川の『おざ式』は自分の原稿が進まないことをネタにして、他作品をメタ的な世界観に作り変えたパロディを実践している。

子犬を畏れる男

本HPは私の見てきた作品等についての魅力を伝えていくためのページです。

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