『台風のノルダ』ー第19回メディア芸術祭
2015年、メディア芸術祭は19回目を迎えた。このエントリーでは2年前のメディア芸術祭の展示作品を振り返りたい。その中でも、私が見て印象に残った劇場アニメーション『台風のノルダ』を紹介しよう。
文化祭の準備をしている最中、主人公のシュウイチは野球部を辞めたことで、一緒に野球をしていた親友、ケイタと険悪な雰囲気になってしまう。台風の襲来とともに学校の裏山にある旧体育館に少女が落ちたのを見たシュウイチは、台風の中でその現場に向かう。シュウイチが見つけたその少女は、宇宙から飛来し、人柱となって地球を再生させる運命であることを語った。これを助けようとシュウイチが奮闘する反面、協力をしないケンタも心を動かされる。最後にはケンタとともに、ノルダを破滅の運命から救い、シュウイチとノルダの別れによってこの物語は終わりを迎える。
この作品が素晴らしいところは、基本的なことではあるのだが、ストーリーのラインを複数進めつつも、最後にはしっかりまとめて終わっている点だ。この物語のストーリーラインはケンタとの友情とノルダとの出会いと別れ、そして自然と人間との共生の三つがあげられるだろう。この三要素を30分以内の枠に収め、ストーリーとして完結させているところが実は大切なのだ。また、旧体育館が重要な場所として機能しているところも興味深かった。廃墟という人の手から離れてしまった謎の多い場所に、実は未知の空間が眠っていたなんてことはロマンチックではないだろうかと思うのだ。
0コメント