雑誌『東京人』3月号から読み解くパロディ
『東京人』3月号には、この間行ってきた『パロディ、二重の声』展が特集記事としてピックアップされていた。展示内容についても多く触れられていたが、対談やパロディに対するコラムが半分ほどを占めていたと思われる。
その中でも多く話題にのぼっていたのがパロディとモジリの違いについてだ。パロディは批判的な揶揄や風刺、模倣を指す。しかし、モジリはどうだろうか。モジリは原作に愛や尊敬の念を持った上で作品を借りる。オマージュとほぼ同義かも知れない。とにかく、パロディの批判的な精神とは異なる、愛の行き届いたユーモアが含まれるわけだ。
この展覧会に作品が出ており、今回の『東京人』にも、評論家椹木野衣との対談が載っているのは横尾忠則だ。彼は自身でもコメントしているが、パロディする作家を愛し、尊敬した上でその作品と融合するという。他の展示してあったパロディと違い、彼の作品からは対抗心や高圧的な印象を受けない。それは横尾の言う通り、敬愛を持って偉大な作品を使い、自分の作品として再構成したからだろう。そういう意味では純粋なパロディとは一線を画す作品として、彼の作品は扱われるべきなのかも知れない。
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